Posts Tagged ‘写真’

写真の写真を撮る

今年の誕生祝いに、奥さんから何が欲しいか聞かれたので、以前図書館で借りた本で小島一郎の写真集を自分のものとしたかったことを思い出してプレゼントしてもらった。これを。折に触れてひっくり返して見ているが。以前安いプリンタに付属しているスキャナで、気に入ったページをスキャンして、これを自分のiPadに入れて見ていたのだが、このスキャナの最高の解像度(多分1200dpi)でスキャンしてもモアレ縞が酷かった。モアレ縞の発生しない最適な解像度があるのかどうか知らないが、写真集が自分のものになった今、気に入ったページの写真をカメラで撮影しようと思い立った

カメラは、自分の手持ちのカメラの中では、経験上条件が揃えば良い(くっきりした)描写をするOlympus E5と14 – 54mm(35mm判換算28 – 108mm)の標準ズームレンズ。本当は別に持っている50 – 200mmズームが使えればもっと良いのだろうが、引きが取れないので。距離的にはこの標準レンズの望遠端でちょうどページが収まる感じだ。Olympusでは50mmマクロの評判が良かったので、これで撮れば理想的なんだろうか

三脚でカメラをセットし、ページがめくれないように紙クリップでページを固定する。紙の腰が強いので、しっかり押さえなければページが盛り上がって画像が歪むが、あまりぎちぎちに抑えると製本が壊れそうになるので、そこの折り合いをつけながら

照明は、昼間は窓からの外光と室内の蛍光灯の照明、そして補助として100円均一ショップで買ったLEDライト。部屋が通りに面しており、お向かいの家の外壁が純白で、反射が強いので雨戸で少し遮って。紙面はコート紙で光沢があるので照明の反射を避けると変な角度になって狭い部屋で三脚の足の置き場に困ったり、その結果人間が変な格好で撮影をすることになったりすることをクリアしながら撮影

ライブビューで拡大しながらピントを合わせ、ミラーアップ機能を使って極力振動を減らし、シャッターボタンを押したらシヤッターが切れるまで息を止めて、そのままの姿勢でフリーズ

その結果、以前スキャンしたよりは大分ましな結果になったが、3つ課題があった

一つ目は歪み。レンズの収差からくるものと、写真集の位置決めが甘いことと、どうしても紙面を正確に平面にすることができないため発生する。ここはもうあきらめてLightroomの修正機能(水平、垂直方向歪み補正、回転)をフルに駆使して、妥協できるレベルまでもって行く

2つ目は色調。撮った写真と写真集を比べると、照明の影響もあるのだろうが、見た目がどうも違う。原画は白黒写真とはいえ大分セピアがかかっている。これもLightroomの彩度、色温度、色かぶり補正機能を駆使して妥協できる範囲まで追い込む。大体彩度を+20、色温度を+250~500°位上げ、色かぶりを+5~10程度の組み合わせで何とかなった。セピア調にするのに、色温度を上げ、そして色かぶりを緑に寄せれば、それらしい雰囲気になることが分かったのは収穫だ

最後はモアレ縞だが、何枚かの写真で発生した。これは流石のLightroom様でも如何ともし難く、再撮影した。絞りを変えたり、ほんの少しピントをずらしたりして撮影したところ、まずまず妥協できるレベルにはなった。前回と微妙に被写体との距離が違うことも功を奏したのかも知れない

写真の写真を撮ること一つを取ってもなかなか奥が深い。縦横、水平垂直を如何に正確にとるか、照明、色調、モアレ縞の問題それぞれに気を配って撮影されていることがわかる

これからjpegに変換して、iPadのフォトアルバムに1枚ずつ登録して行く作業、スライドショーを作る作業が待っている。楽しみながら少しずつやって行きたい。

※ 本稿では当初小島一郎氏の写真集の中から1枚の写真の一部を切り取り、作業のプロセスの紹介に使おうと思いました。これは小島氏の写真の芸術的価値を損ねる意図は毛頭なく、飽くまでも私のやったことの説明が目的ですが、たとえ一部であっても公衆送信権の問題もありそうで、掲載は控えることとしました。もしこの記事をご覧になっている方がおられましたら、一体何のことだかわからない記事となりましたこと、お詫びいたします。なお、撮影した写真は私個人で楽しむ目的ですので著作権法上は問題ないと判断しています。因みに当該書籍は「小島一郎写真集成」青森県立美術館監修、(株)インスクリプト、2012年12月10日初版第5刷です

2020/09/27
んねぞう

コサイン誤差

先週の写真教室で、フォーカスのところでコサイン誤差のお話があった。これまで雑誌などでコサイン誤差という言葉が出てきて、何となくこういうことかな、という感覚でいたのだが、この機会に、何故三角関数の「コサイン」が出て来るのか、何故サインでもタンジェントでもなくコサインなのか、検証して見た。

以下はその結果。知っている人は見る必要はありません。あちこち脱線するかも知れないし

まず、コサイン誤差の発生する状況の設定

同じ焦点面(焦平面ともいうらしい)に真珠と豚を配置する。真ん中に豚、右寄りに真珠を配置する構図とし、焦点は真珠に合わせたい

豚に真珠

撮影の手順として、カメラを構えたらまず右の真珠に向けて焦点を合わせてロックする。この時の焦点距離をf1とする(上から見た図)

次に、カメラを豚の方に向ける。この時カメラを振った角度をθとする。また、真珠と豚は目的とする構図の同一焦点面にあるので、カメラと豚の距離は、カメラと真珠の距離とは異なって来るはずである。この距離をf2とする

そのままシャッターを切ると、その結果、写真は多分こうなるだろう。豚も真珠もぼける。コサイン誤差が被写界深度を超えた場合は(だよね)

豚に真珠

ここまでの理解は、多分正しいのではないか。間違っていたら、これから先の議論が台無しになるので、その場合はそっと教えてほしい。そしたらこの記事もそっと消すから

いよいよこのコサイン誤差の定式化だが、下はこれまでの説明をまとめた図。ここでは、このコサイン誤差は次のように定義する

コサイン誤差

コサイン誤差(仮にεとする) は、 真珠に合わせた焦点距離 (f1) と、正面の豚とカメラの距離 (f2) の差

ε = f1 – f2

となる。ここで

f2 = f1 cos (θ)と表現できるから、

ε = f1 (1-cos(θ))

と表現できる。なるほど。このように三角関数のcosineを使って表現できるからコサイン誤差というのだ

試しに、f1=1000mm、θ=30° としたらコサイン誤差はどれくらいになるか計算したら、約134mmとなった。これと実際の被写界深度を比較して見る。例えば、50mmの標準レンズをF8に絞った場合

前方被写界深度 87.59 mm
後方被写界深度 106.19 mm
被写界深度 193.78 mm

となり、豚も真珠も焦点面より前にあるので、多分前方被写界深度が適用されるだろうから、87.59mmに対してコサイン誤差134mm、全然ダメということがわかる

ひとつすっきりした

と同時に、被写界深度は前方と後方が異なるということがわかってしまった。この物理的直観がつかめないという課題が…

※ 被写界深度の計算には 「keisanサービス」https://keisan.casio.jp/exec/system/1378344145 のお世話になりました

2020/08/09
んねぞう

09

08 2020

写真のアスペクト比について

昨日の写真教室で、今月の写真展(コロナウィルスの影響で中止になるかも知れないが)に出展する写真について、講師の先生から指示があった。 写真展の全体の統一性を考慮し 、サイズは四つ切指定。したがって、私はこれまで1:1.4のアスペクト比で撮影していたものを、今後は1:1.2のアスペクト比での撮影となる。今日もお寺を何軒か回って撮影したが、どうしても撮るときはファインダー全体(1:1.5)で構図を設定しているので、帰ってトリミングするときに戸惑うことが多い。歳をとってくると変化に対応するのに時間がかかるので、これは時間をかけて慣れて行くしかない。

それよりも困るのは、四つ切のプリンタ用紙が店頭ではなかなか手に入らないことだ。白黒用のプリント用紙に至っては、50枚で4,000円以上する。私にはとても手が出ない。

しかし、良い点もある。以前のアーティクルで書いたように、これまで私が常用して来たA4と比較して約24%も面積が広い。これで多少写真の訴えの量も増えるかも、という期待ができる。わかっています、良い写真はプリントの大小に関係ない、ということは。しかし私はそれすらも動員しないといけないレベルですんで、はぃ…(居直り)

2020/03/21
んねぞう

22

03 2020

長屋門写真集

私の属している写真教室の先生の制作された写真集がWebで公開された。私はそのレイアウト、というかBlogの設定作業をさせていただいた。「長屋門の四季」というタイトルにしたので、春夏秋冬のカテゴリーでアクセスできるようにしたいと思って悪戦苦闘し、何とか形にしたが、一部どうしてもスマートに行かず、画面がダサい部分があって、これが悔やまれる。これは偏に私の責任である。

しかし、これ以外は非常に内容の濃い写真集なので、是非見て頂きたいと思う。

長屋門の四季

2020/02/28
んねぞう

津軽旅行記

真冬の2月に、何回目かの津軽に出かけた。今年は現地の雪が少なくやきもきしていたが、1週間前になって雪が積もり始めてくれた。

今回の旅の目的は3つ

  1. 写真家 小島一郎の幻影を追うこと
  2. 五能線沿線の海岸を1か所で良いから歩くこと
  3. 津軽三味線の始祖 仁太坊の生まれた場所を訪れること

写真家 小島一郎の幻影を追う

津軽を代表する写真家 小島一郎の足跡を辿って、車力、十三湊を歩き、津軽の冬の景色を撮る。昨年初めて小島一郎の写真集を見て、津軽の感じ方に間違いはなかったように思っている。小島の写真の特徴は、雲、そして雪の描写にあると思う。雲は覆い焼きの技法によって劇的な表情を見せ、雪は、束の間顔を見せた陽光によって、橇跡が硬くなって鈍く光を反射している描写が私には強く印象に残った。また、吹雪の中、角巻を纏って歩く婦人、同じく吹雪の中で佇立する電柱で一つ灯っている裸電球。これらの残像を脳内に保ち、 「また来たじゃ」と心の中で呟きながら カメラを握って歩いた。歩いたとは言ったが、限られた時間内で鉄道の便もないので、レンタカーを駆って歩いたのだが。小島の時代からすでに60年の歳月が経ったので、当時そのままの景色が残っている由もないが、幸い吹雪いてくれたので、それらしい雰囲気にはなったと思っている。

来島海水浴場
アイスバーンの道を抜けて開けた駐車場に止めた車から降りると、よろけそうな風にあおられる。見る見る間に露出した顔と手から体温が奪われ、手はかじかみ、口は回らなくなって、「まみむめも」は「もぁむぅぃんむぅむぅぇんむぉ」となってしまう。斜面に生えている草は風によって完全に斜面に撫で付けられてしまっている
十三湊の凍結した明神沼
しゃりきサンセットドーム近くの海岸にて
スーパーで見つけて買って来た地酒。十三湊は昔、安藤(東)氏の拠点だったことに因んだのだろう

五能線沿線の海岸を歩く

ここでは、五能線の深浦駅で下車し、行合崎を目指した。

五所川原駅に入線して来た列車
雪の上に落としたわけではない。海岸を歩くと横殴りの雪がこのようにレンズにこびりつく。溶けないので、水となってレンズの中に侵入しないので助かる。後でこの写真を見て、手振れ補正機能がOffになっていることに気が付いて慌てた。しかし雪の中では手振れ補正が必要なほどシャッタースピードを落とす必要はなかったので一安心
駅を出て国道を北に歩く。現地に着くまでは、国道を歩けるか心配だったが、歩道の上に積もっている雪は浅く、楽に歩くことができてほっとする。東北南部の豪雪地帯では、車道の除雪に手いっぱいで歩道まで手が回らず、やむを得ず車道を歩かなければならないことがあるが、身の危険を感じる。もっとひどいときは、雪が解けた水を車が跳ね上げて走るので、とても歩けた状態ではなく、泣く泣く目的地に行くのを諦めたこともある
今日の晩はこの地酒。一昨年竜飛に来た時も飲んだな

津軽三味線の始祖 仁太坊の生まれた場所を訪れる

これが今回の旅の最大の目的である。岩木川の畔、神原に生まれた仁太坊を記念した石碑を目指し、その場所の雪を踏み、風に吹かれること。

これがその石碑。この近くで仁太坊が生まれ、そして津軽三味線が発祥したのかと思うと、感慨深い
お土産に買った津軽弁のピンバッジ。「No.」のも欲しかったがなかった。地元の方に聞いたら「ま(ぃ)ね」と言うらしい

この時の写真はんねブラに掲載しました

車力-Feb.2020:写真家 小島一郎の幻影を追って

深浦-Feb.2020

金木-Feb.2020:津軽三味線の幻影を追って

2020/02/10
んねぞう

つまり、

先日写真を撮りに行った先の駅のトイレで

2019/09/28
んねぞう

四つ切とA4あるいはA4プライム

写真教室で、8月いっぱい写真展が開催されていた。私は初級のコースからだったが、他に中級コースの人達の写真が多く出展されていた。初級の人はA4サイズの写真だったのに対して、他の方々の多くは四つ切サイズだった。額に入れて飾って見ると、見た目でもA4の方が小さく見える。少し調べて見た。

左から2枚目が拙作のA4写真、その他は四つ切。何となく違いが判るだろうか

それぞれサイズを書き出すと次のようになる。

四つ切: 254mm × 305mm 面積 77,470mm2

A4: 210mm × 297mm 面積 62,370mm2

(平方ミリメートルを表すために上でHTMLタグの”SUP”を使ったが、このブログでは反映できないのですかね)

面積比は四つ切:A4で1.24倍

四つ切の方が1.24倍大きい。然らば、A4の縦横比で面積を四つ切と同等にするためには縦横を 1.24の平方根倍 、即ち1.11倍すれば良いので、

234mm × 331mmのものがあれば良い。

私はこのサイズを A4′(A4プライムあるいは四つ切相当面積) と呼称することを提唱したい。

因みにJIS A,B系列は縦横の比が1 : √ 2 ( ≒ 1:1.4 )であり、二つ折りにしても縦横比が変わらないために重宝する。また、一般的なフルサイズ/APS-C等のセンサーサイズの縦横比が1:1.5と、この比に近いことから、画像データをできるだけ活用するためにも好都合なので、このサイズを使っている。

2019/09/07
んねぞう

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07

09 2019

写真展出展

写真教室の主催する写真展に、初めて出展した。古民家のある公園の蔵を使ったいい感じのギャラリーで、それほど広くない会場の中の、土壁1スパンに展示してもらえて、優遇されているのかも。写真はこちら- 追憶の静寂(しじま)(んねブラに飛びます)

2点出展したが、入れ替え制で1点ずつの展示らしい。

2019/08/03
んねぞう

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08 2019

ファインダー穴開き紙

このところ毎回のように写真ネタで恐縮です。

写真教室で、先生から口を酸っぱくして言われているのは、撮影する場所に着いたからと言って、すぐカメラを構えて撮り出しては駄目ということ。この場所を自分の目でじっくりみて、どこを、何を、どこから、どのように撮るかを、場所を変え、視点を変え吟味してから撮影に入りなさい、と言うこと。私もこれには心当たりがある。まず着いたら、あたりをきょろきょろ見廻して戦略と言うと大げさだが、まずとっかかりを探すことから始める。

昨日の教室で、先生が新しい兵器を見せて下さった。黒い紙に10cm×15cmの四角い穴を開けたもの。画面のアスペクト比の穴を通して、構図のシミュレーションをするためのもの。この穴開き紙を目の前にかざして、伸ばした腕の位置によって見える範囲とレンズの焦点距離の対応の感覚を養うということと、構図の見方の感覚を養うということだと思う。

何という名前か知らないので、取敢えずファインダー穴開き紙と呼ぶ。100円均一ショップで適当な材料を物色し、下のような、ドキュメントケースと透明の下敷きを買って来た。

表は透明、バックは黒のビニール製。真ん中の四角は切り取ってしまった後の線
真ん中の四角は、この線に沿って切り取ろうとしたがカッターナイフの刃が立たず途中で断念した跡

このドキュメントケースが表は透明、後ろは黒なので、2枚合わせてどてっばらを四角く切り抜く。

中を切り取った

そして下敷きを入れる

これで完成としたいところだが 、 写真では良く見えないが、 透明とはいえやはり下敷きの反射が気になって、カッターナイフで切り抜こうとしたが歯が立たず、そのまま残してあるのが少し残念である。

これを使って、自在に撮影範囲のシミュレート、構図の確認などができる。 下敷きを抜けば折りたたんで持ち運びができる。ただし、先生からは、街中でこれを使ってあちこち覗いていると通報されるかも知れないから、やらないようにとの注意。

ちょうど可愛いイラストの部分がそっくり切り取られた。 何か使い道はないかね

2019/06/16
んねぞう

16

06 2019

シャッタースピードによる写り方の違い

写真教室で、シャッタースピードの違いによる写り方の違いを実習したのを受けて、先週、今週と水車の写真で試して見た。以下はメモ

始めに1/10とか1/15秒のシャッタースピードで撮った時は、もっと遅いシャッタースピードの方が気に入った絵になると思っていたが、いざ長秒時のシヤッタースピードだと水の筋が紗がかかったようになってかえって印象の薄い絵になってしまった。逆に早いシャッタースピードで撮って水の動きを止めて写した方が気に入った。これは、滝と違い、水量が限られているので、画面内で水の存在感を感じさせるマス(mass)が不足しているため、と思った。

2019/06/08
んねぞう

09

06 2019