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津軽三味線の系譜 – その4

独奏楽器としての津軽三味線の曲と言えば、じょんから節、おはら節、よされ節の3曲が有名だそうだ。
これら以外にもいろいろあると思うが、弥三郎節は特徴的な滑稽さを帯びた旋律なので、すぐわかるが、私は申し訳ないことに、じょんから節がどういうものかまったくぴんと来ない。一つには、西洋音楽のように決まった楽譜と形式がなく、例えばバッハのミサ曲ロ短調であれば旋律ははっきり書いてあるし、誰が演奏していもこれはバッハのミサ曲であるとわかる。ところが、いろんな人が「じょんから節」を弾いているのを聞いても、これが同じ曲であると理解ができないのである。それもまた、じょんから節には旧節、中節、新節とあるそうで、これがますます事態をわからなくさせている(私だけの話ですが)。元来津軽人の気質から、他人の模倣を嫌うために、統一した旋律などあり得ないとしても、わからなさにも程があると、私は思うのだ。
そこで、まずじょんから節の比較の基準として、手元にあった高橋竹山の中節の演奏を採譜して、他の演奏と比較をしてやろうと思った。

昔は紙の五線譜と音符用の万年筆で楽譜を書いたものだが、最近はパソコンで楽譜を作成するフリーのソフトがあって、ありがたい世の中になったものだ。因みに今回見つけたソフトはMuseScore(ダウンロードページ および ハンドブックページ)。入力した楽譜を演奏して確認することまでできる。また、用途違いかもしれないが、曲を何回もプレイバックして、1小節ずつ送りながら聞き取るために、WavePadと言うソフトを使った。

4分前後の曲だったが、採譜を終わるのに5時間くらいかかった。自分の音感(相対)はそれなりに自信があったが、採譜の途中で調性がおかしくなって時々「あれ?」と思うことがあって、これはもともとなのか、加齢によるものか、はたまた脳味噌がアルコールに冒されたせいなのか、いずれにしろ少しがっかりした。

演奏のパッセージが早い部分は正確に五線上に表現するのは当方の耳が追いつけていない点があって、怪しいところ満載だが、全体の旋律を確認するには充分なものができたと思う。

津軽三味線と言うものを理解するのに、演奏を西洋音楽の譜面上に採譜して比較しようと言う、このようなアプローチが正しいかどうかは知らない。変な方向に行っているのかも知れないが(多分そうなんだろう)、人に押し付けるつもりもないし、自分がどこを間違っているかということに気付くための一つのプロセスだと思って、生暖かい目で見てやってくだせえ。

さて、これ(↓)がその楽譜。出典のmp3ファイルも対照のために置きたいが、著作権があるだろうから控えざるを得ない。

津軽じょんから節_中節

取敢えず今日はこの採譜でお仕舞。これが今週末の成果。演奏の比較はこの次。

2017/04/09

【追記 2017/04/15】

今日楽譜を見直していたらかなり間違いがあった。拍の勘定を間違えて小節数が違っていたり、オクターブ低く記譜していたり。速攻で修正し、アップロードした。

んねぞう

 

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04 2017

津軽三味線の系譜 ー その3

これまで、本を読んで、また演奏を聴いて、自分なりの津軽三味線に対する理解を以下に記す。

文化的、歴史的背景

  • 津軽三味線は、津軽地方の人の性向、文化と密着している。

  • 江戸から明治時代にかけて、盲人男性は「坊様(ボサマ)」として、按摩、三味線等の職業にしか就けなかった。門付によって収入を得ていた。
  • 津軽地方にも、瞽女による三味線音楽が定着していた

津軽三味線の起源

  • 安政4年(1857年)北津軽郡神原に生まれた仁太坊が、義太夫に影響され八人芸(ハチヌギゲイ)を始める。劇的効果を上げるために叩き三味線の奏法を創始。

津軽三味線の発展

  • 叩き三味線の系譜として、仁太坊の後、白川軍八郎(津軽三味線の神様と称される)、木田林松栄、福士政勝、弾き三味線の系譜としては、太田長作(長泥手の創始者)、高橋竹山がある。
  • 演奏の場…門付/盛り場、祭礼の場。明治末から唄会。
  • 当初は唄の伴奏の位置づけ。亀坊が唄の変化に対応する演奏を始めた
  • 嘉瀬の桃太郎が伴奏楽器から独奏楽器へ地位を高めた

音楽としての津軽三味線

  • 津軽人の気質(上記構造図参照)である「ナ、ナダバ」の精神に基づき、他人の模倣を非とする奏者、聴衆の姿勢により、当初唄の伴奏に甘んじていた地位から徐々に独奏楽器にまで上り詰め、演奏そのものも情念を叩きつけるような派手さ、技巧を競う。他人との差異化のため、奏法も各自が工夫し、演奏も即興性を重視する。

整理すべき点

  • 「じょんから節」の定義…その起源。演奏、旋律の多様性に対する理解。

じょんから節は口説から来ている(cf.「じょんからをまがす」)。じょんからに合わせて伴奏した三味線が、口説に合わせて旋律が変化することは理解する。その後独奏楽器としての三味線がじょんから節を奏でる場合、依拠する口説がないのに「じょんから節」として独奏することに対する疑問

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03 2017

津軽三味線の系譜 ー その2

さて、その本とはこのような本である。

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03 2017

津軽三味線の系譜

以前津軽を旅した際に買い求めた本がある。その本は、津軽三味線の根源を丹念に踏査し、聞き取り、そして余り記録に残っていない軌跡をまとめた労作である。私が津軽三味線を聴き始めた当初、完全に西洋音楽、それもバロックに根っこを持つ我が身としては、音程の取り方、アインザッツのl仕方、同じ曲なのに人によって何故こんなに旋律が違って来るのか等、戸惑いの連続だった。

それで、そもそも津軽三味線とは何か、と言う知識を本に求めた。如何にも音楽そのものを聞いて本質を捉えることのできない私らしい振る舞いだ。金木と言う、津軽三味線の発祥の地と言われ、或いは太宰治の生まれた地と言えばわかる人の方が多いかも知れない土地を訪れた際に買ったものである。

装丁は簡素、しかも活字が少しかすれ気味と言う、誠に素朴な本であるが、津軽三味線の根底となる津軽人のメンタリティから説き起こされていて、非常に参考になる。その後2,3回津軽に通ったが、行き帰りの新幹線の車中、読みふけったものだった。それが、この1年余り前から、この本の行方が分からなくなり、折に触れ探索を試みていたのだが、結局分からず、先週、いよいよ古本を買い直すしかないと思い定め、Amazonのサイト等を眺めていた。どうもこの本らしきものはなく、それらしいものがあっても程度が良くなくて値段も高いなぁ、などと思っていたところに、奥さんから、これから買い物に行くから車を出して、と言う声に促されて玄関に出て、ふと玄関から二階に行く階段に積まれている書籍の中に、何気なく積まれている本を手に取って見たら、それだった!

今夜はこれまで

2017/03/12

んねぞう

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03 2017

Youtube ムービーのダウンロード

Youtubeのバロック音楽演奏のビデオで楽しませてもらっているが、最近、登録したチャンネルからコンテンツが次々と削除されているのに気が付いた。

チャンネルそのものが閉鎖されているものもある。

これでは心を慰められてきた演奏もいつかは見られなくなると危機感を抱き、必要なビデオのダウンロードを試みた。

特にJordi Savallのバッハ ロ短調ミサの演奏(Johann Sebastian Bach: Mass in B minor, BWV 232 – Jordi Savall (HD 1080p))はぜひとも残しておきたいと思い、いろいろなダウンロードツールを試してみたがうまくゆかなかったが何とか収めることができた。十数個のビデオをパソコン化に取り込み、ついでにiPad Mini2とiPhoneにも納めておこうと思う。

課題:いくつかのムービーはiTunesでiPhone、iPadに転送できない。同じmp4形式なのに。何故だ?

2017/01/07

んねぞう

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01 2017

バロック音楽界と日本人

Youtubeでバロック音楽の、主としてアメリカ、ヨーロッパの団体のコンサートを視聴しているが、僅かながら日本人が出演しているのを見ることがある。先だってはスペインの教会でJordi Savallが指揮したバッハのロ短調ミサでテノールのソロを務めていた人の名前を見たら日本人だった。現在は東京芸大の准教授をされている人らしい。

演奏の他にも、演奏者が師事した人に日本人の名前を発見した。クロアチアのバロックアンサンブルのチェンバリストのプロフィールを見ていたら、ローザンヌ高等音楽院で小糸けいと言う方にオルガンを師事した、とある。

西洋音楽のメッカでソロの演奏活動をする、また本場の人間に教えるようになる、と言うことの大変さに思いを致すとともにその才能が羨ましく、また努力に尊敬を禁じ得ない。

2016/12/17

んんねぞう

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12 2016

バイオリンの顎当てカバー その後

バイオリンを再開してから、季節柄か、加齢によるものかわからないが、弾いている間、顎と首の発汗が酷く、汗が楽器側に滴って行くのが非常に気になっている。私の楽器は、前にも書いたがシーラカンスと言われるくらいの絶滅種で、汗で膠が剥がれるくらい朝飯前のものだから、顎当てカバーを探していた所、下のような物が見つかった。

ファイル_000 (2)
セーム革で、顎当てに引っ掛けてずれないようになっていて、適度な摩擦もあって滑らないし、肌触りも良くて弾いている時も意識しなくても良い優れもの。
ファイル_000 (1)

あまりにも考えられ過ぎていて、私的には、単なる30cm四方の革を、弾くときにさっと掛けて、と言うイメージだったのから見ると、うーん、と言う感じ。テールピンも汗からカバーできていないし。でも、使いやすいから使います。

2016/07/31

んねぞう

バイオリンの顎当てカバー

近頃バイオリンを再開しているが、季節のせいか、はたまた歳のせいか弾いていて顎と首に非常に汗をかく。汗が顎当てから一部胴体(バイオリンのです、念のため)まで垂れているのだが、自分の楽器はヴィンテージと、聞こえは良いが実は学生時代の仲間内ではシーラカンスと呼ばれていた位の代物なので、変な汗でニスが剥がれたり、膠が剥がれたりしないか気が気でない。

そこで、何か手頃な顎当てカバーがないか探してみたら、セーム革のカバーを見つけた。昔と違い、適当な形、大きさに加工されているのが有難い。早速注文して、到着待ち。

弓張り替え

7/17に張り替えを頼んだ弓が出来上がってきて、帰宅してさっそく試奏。当然のことながら、松脂が全く乗っていないので、松脂塗りから。30分位塗っては弾きを繰り返し、まずまず音が 鳴るようになった。次は、錆びて切れそうになっていたD線の張り替え、実はどれがD線なのか今となってはわからないが、取敢えず在庫の中から選び出して張り替え。

因みに、在庫は下記。
6D_16620

YAMAHAで250円とか。

6D_16623

多分これはガット弦で西ドイツ製。どんだけ物持ちが良いんだ? 因みに弓は東ドイツ製。

6D_16624

D線の張り替えの後、ガット弦だけあって緩むこと、緩むこと。10分ほど弾いて調弦の繰り返し。今日も1時間半程弾き込んだが、最終的には半音位緩んだと思う。

それよりも、これ、本当にD線なのか?という疑念が時折頭をもたげる。鳴りが非常に悪い。G線と太さがほぼ一緒。ひょっとしてG線か?とか、弾いていて雑念が頭の中を去来。
2016/7/24

んねぞう

 

電子楽譜

前稿で楽譜の電子化のことを書いたが、タブレット端末の楽譜の表示ソフトと連動した、譜めくりフットスイッチがあるそうな。
それも良いが、せっかくだから、音楽の進行を音声認識して、譜めくりのタイミングに来たら自動で次のページを表示するような機能はないのか?
リピート、ダカーポ等の情報も認識しつつ。
特にピアノ、オルガン弾きの人にはニーズあるような気が。

2016/07/03
んねぞう