津軽三味線の系譜
以前津軽を旅した際に買い求めた本がある。その本は、津軽三味線の根源を丹念に踏査し、聞き取り、そして余り記録に残っていない軌跡をまとめた労作である。私が津軽三味線を聴き始めた当初、完全に西洋音楽、それもバロックに根っこを持つ我が身としては、音程の取り方、アインザッツのl仕方、同じ曲なのに人によって何故こんなに旋律が違って来るのか等、戸惑いの連続だった。
それで、そもそも津軽三味線とは何か、と言う知識を本に求めた。如何にも音楽そのものを聞いて本質を捉えることのできない私らしい振る舞いだ。金木と言う、津軽三味線の発祥の地と言われ、或いは太宰治の生まれた地と言えばわかる人の方が多いかも知れない土地を訪れた際に買ったものである。
装丁は簡素、しかも活字が少しかすれ気味と言う、誠に素朴な本であるが、津軽三味線の根底となる津軽人のメンタリティから説き起こされていて、非常に参考になる。その後2,3回津軽に通ったが、行き帰りの新幹線の車中、読みふけったものだった。それが、この1年余り前から、この本の行方が分からなくなり、折に触れ探索を試みていたのだが、結局分からず、先週、いよいよ古本を買い直すしかないと思い定め、Amazonのサイト等を眺めていた。どうもこの本らしきものはなく、それらしいものがあっても程度が良くなくて値段も高いなぁ、などと思っていたところに、奥さんから、これから買い物に行くから車を出して、と言う声に促されて玄関に出て、ふと玄関から二階に行く階段に積まれている書籍の中に、何気なく積まれている本を手に取って見たら、それだった!
今夜はこれまで
2017/03/12
んねぞう