木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン並びにインドの写真

先週東京都写真美術館で開催されていた写真展に行って来た。
印象に残ったのは、1950年代~1960年代のフランスと日本を撮った写真。
1950年代には私が生まれ、60年代は幼年期に相当するので、自分の幼年期の光景と重なり合う部分があり、そう言う意味で他の写真とは違った向き合い方になる。日本の光景については、自分が経験したことのないこと、行ったことのない場所、見たことのないものを写した写真を見て珍しいとか、新しい物の見方に気付いたとかと言うことではなく、自分の経験とそれまでの思いが貼り付いた窓のような物を通すことにより、別の感慨を覚える。それに対して、同時代のフランスを写した木村木村伊兵衛やブレッソンの写真は、当然行ったことも経験したこともないものを写した写真なので、そのような感慨を覚えることもない。
同じ日に別の若手写真家6人の写真展があり、そちらも覗いてみたが、一人、インドの都市の一連の写真を出展している人がいた。見ていて思ったのは、撮る写真に、何となくやはり日本人らしいウエットな視点が含まれていること。少なくとも私はそう考えた。多分同じ場所でもインドで生まれ育った人と日本人が出かけて行って撮る写真には違いがあり、インド人の写真家が撮ったとしたらこのような絵にはならないだろう。これは良い悪いを言っているのではない。映っているのが人だとして、その人が何を思っているのかは本人以外分からないのだから、周りがどう忖度するかは勝手であり、そこからイマジネーションが湧いてくる訳だから。
だけど、本当はこの人(インドの市井の人達)はどのようなことを考えて生きているのだろうと言う疑問は、異文化からやって来た日本人だからこそ強いものがあり、それが日本人のメンタリティとの間に遠近感を伴って写真にも投影されるような気がする。
ここまで書いていて、自分がインドで生活してきて思っていること、写真について、考えが少し整理できたような気がする。

 

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2010/02/13
んねぞう

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02 2010

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