蟹田再訪 – Feb. 2018

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津軽線蟹田駅近くを再訪。前回は2014年5月。津軽地方の景色に惹かれ、今回は真冬の海岸をぶらぶらして見た。

前回もあった、船底の赤いボート

しばらく海岸をぶらぶらする。

海岸から離れて線路の向こう側から海岸を望む。犬を散歩させる人。

再び海岸に戻り、岩場を歩く。打ち上げられた流木の先を白鳥が二羽、ゆったりと浮かんでいる。

ここら辺で一つ海岸の全景を撮っておかねばならない。雲の合間からわずかに陽の光が差した瞬間を狙って。因みに、この堤の右側には、以前は海産物加工場の廃墟があったが、今は撤去されて雪原に戻っている。

1時間半程じっと佇んだり、歩き回って写真を撮ったり存分に一人の時間を過ごしているうちに、雪の勢いがますます強くなって来た。消波ブロックの上にウミネコが風上を向いて、固まって止まっている。

私もカメラの調子がおかしくなり、おまけに靴までおかしくなって浸水して足の感覚がなくなって来たので、そろそろ引き揚げる潮時かも知れない。もっといたいが。

津軽線は、旅客列車よりも貨物列車の方が多い。青函トンネルを使った輸送路になっているせいだろう。

有名な太宰治の「津軽」で「蟹田つてのは、風の町だね」と言っているが、三厩、竜飛含めこの地方はやはり風が強いと言う印象が強い。この印象が先に立って、その町の実態以上に訪れる人を身構えさせることもあるかも知れない。私はこの2回の訪問で、風が強かったことがない。だから、風が穏やかなので「あれ?」と期待をはぐらかされたような気になりそうなのだが、別に蟹田の自然自体が、来る者皆に風が強いことを保証しているわけではない。事実「津軽」でも上述のフレーズを含む部分はこのようになっている。

その前日には西風が強く吹いて、N君の家の戸障子をゆすぶり、「蟹田つてのは、風の町だね。」と私は、れいの独り合点の卓説を吐いたりなどしてゐたものだが、けふの蟹田町は、前夜の私の暴論を忍び笑ふかのやうな、おだやかな上天気である。そよとの風も無い。

4年前に蟹田の駅に降り立ち、太宰の「津軽」の知識もないまま、ふらふらと道を歩き出した。特に私の琴線に触れるものがないまま、つまらない住宅地などを抜け、線路を渡った後、ふと小路を抜けると、そこは陸奥半島を望む海だった。ぽたぽたと波がたゆたう堤防の階段に腰を掛け、缶コーヒーを飲みながら、海を見、波を見、遠くに霞む対岸を見ていた。

今は真冬、降りしきる雪の中で一人たたずむ自分。思う存分自分の自由を、言わせてもらうならば自分の世界に耽溺した時間。それが何かは、私は人に言葉で伝えることはできないし、しようとも思わないし、できたとしても他人の理解が得られると期待もしていない。それで良いのだ、と思う。

■ スライドショー(大容量につき注意) ■

(BGM : Aromatum Chaos written by ilodolly )

2018/02/11

んねぞう