ヴァルプルギスの夜は、4/30から5/1にかけてのヨーロッパのお祭りなので、この2月に撮った写真は時期が違っているのだが、撮った光景が、私の中でベルリオーズの「幻想交響曲」の第五楽章、別名「ヴァルプルギスの夜の夢」の印象と固く結びついてしまっているため、このタイトルとした。
2月の夕方午後4時から6時近くまで、自宅近くの公園の丘の上で、三脚を立て、指をかじかませながら撮ったもの。
「時は中世、所は欧羅巴の田舎、今夜はヴァルプルギスの夜。いつもの森も特別な夜を迎えるにあたり、ただならぬ緊張とざわめきが漂っている黄昏時」
と言う設定の下、大いに写真をいじって構成して見た。
午後4時でも日が傾いている。横から差している光を遮る、葉を落とした桜の木の幹の陰が禍々しい。
陽は完全に落ち、これから魔女の饗宴の始まりだ
舞台は整った。人間が出歩いていた時間とは違い、生き物の気配は失せ、あたりは不気味なエーテルで満たされる。ひとたび宴が始まれば、中央の広場では生贄が屠られ、魔女達は夜明けを告げる鶏が鳴くまで輪になって踊り狂うのだ。その間、木々も魔女達の放つ邪気に惑わされ、幹や枝を捩って耐え忍ぶしかない。
夜の支配者、月が昇って来た。人々は窓と扉の閂を閉じ、枕にしっかり顔を埋めて魔女達の笑い叫ぶ声を決して聞かぬようにして魔の夜をやり過ごす。
2015/02
んねぞう