南東北にある、石切り場跡を訪ねてみた。ここから切り出された石は、昔近隣の塀、門柱、墓石の土台等に使われていた。
今は、一応公園らしき体裁を取っているが、人気がなく、廃墟のような雰囲気を漂わせている。ぞくぞくする。
まず入って目に入ったのが、ステージのような壁。ある種神殿のような荘厳さを見た。ワーグナーの楽劇の舞台にもなりそうな感じがする。
壁面を蔦が這っている夏の生命力。
横に伝っている様子が、ホラーっぽい。さわさわという微かな音を立てて忍び寄ってくる場面を想像してしまう。
ここをステージとして、コンサート等やってみたら、さぞかし音響が良いだろうなと思ってみたが、湿り気を帯びたこの場所の醸し出す、得体の知れない雰囲気に負けてしまいそうだ。
入り口に戻り、反対側の壁を見ると、切り立った壁にトンネルが掘ってある。ここをくぐって見る。
ここも石切り場の跡で、広場になっている。突き当りに池があり、その向こうに鳥居が。
由来はわからないが、やはり人々はこの場所に何かの力を感じて祀ったのだろうか。そんなことを思いながらぼーっと立っていると、一陣の風が吹いて、木々の枝を揺らせて行った。
(数年後に再訪したところ、この鳥居は雪のためだろう、倒れていた)
この場所には、何かが宿っていると言う強い感覚。
去り際にふと空を仰ぐと一筋の飛行機雲。いざ、人間界に戻らめ。
んねぞう