既に東京では桜が開花したとされ、一方関東の山間部では雪が降ったという訳のわからない週の週末、これまたすぐれない天候の中、人気のない場所を狙って神奈川県の宮ケ瀬に行って来た。
ダムのためにできた宮ケ瀬湖の北に位置する公園。駐車場からかなりの段数の階段を下りると、そこは人っ子一人いない別天地。オレンジ色の鮮やかな橋の向こうは、雪を被った山。
湖をめぐる遊覧船(今日から運行開始とのこと)乗り場も、あと2時間以上しないと次の船が来ないため、誰もいない。カラフルに彩られた鉄骨も虚しい。ただし、水仙がきれいに咲いているのが、人の手が入っていることを物語っている。水音も、鳥の声もしない。するのは、被った帽子に当たる雨粒の音と自分の防寒着の衣擦れの音のみ。
車を走らせて、今度は湖の西岸にある公園に。ここには十軒程の売店、食堂、そして旅館が軒を並べているが、殆どの店が閉まっている。路地を歩いていてふと目を向けると、前回の”人気(ひとけ)のない公園“でもいた、ぎょっとする人形が潜んでいた。
ここでも階段を下りて水辺に出る。これまで出会った人は、お店の人数人、公園の保守作業の人2人。客はゼロ。
この公園の売りの一つである吊り橋。良くメンテナンスされている構造物と、本来人が来て利用されるべきなのに無人である状態のギャップ。廃墟との分岐点。
運行を終えた遊覧船と吊り橋。北の空が、やや雲が薄くなって明るくなっている。午後5時になり、夕焼け小焼けのメロディが拡声器から流れてきた。これだけ人がいないと、車を停めてきた駐車場は、本当に夜10時まで空いているのだろうか、客がいないからとさっさと5時で閉められて明朝まで出られないなどと言うことはないだろうかと心配になって来る。気が小さい。
割合濃い桃色の花をつけた木が曇り空をバックにシルエットを浮かび上がらせている。
完全に人がいない、いるのは野良猫と鴨だけ。
公園の入り口に「さくら祭り」の幟が立っていた。新し目の、吊るされて間もないと思われる提灯が妙に色鮮やかで、艶めかしくも禍々しい。暗くなって、もし提灯に灯が灯ったら、もっと良い(?)感じになると、帰ってきて写真を見直しながら思った。
この店もちゃんと営業している店だが、閉店している間は廃墟の匂い。
これから暖かくなり、桜が咲き、家族連れ、外国人観光客で賑わう時期も遠からじ。今日は、駐車場の管理事務所もシャッターが下りていて、料金の払いようがなかったので、そのまま出てしまったが、良かったのだろうか。
んねぞう
2017/04/01