山形-福島県境の峠に行って見た。現在は積雪期間に入るため、県境は閉鎖されている。山形側から上る。
早朝出発して峠の取り付きの路に行く途中、いつも気になっている鳥居があるので立ち寄って見る。鳥居が一基ぽつんと立っていて、周りを見渡してもお社など何もない。土地の方に聞いても、よくわからない。
峠を登り始める。生憎の天気で、山肌からしきりに雲が湧いている。
高度を上げると霧の中。風が吹いて雨粒がレンズに付着している。
峠の駐車場に車を停めて、近くの丘に登って見る。左からの雨交じりの強い風に笹の葉が煽られている様子をできるだけスローシャッターで表現して見た
丘の上に立っては見たものの、一面の霧で何も見えず。息ができなくなるほどの強くて冷たい西風で、指がかじかんで痛みを感じて来た。防寒着のフードを吹き飛ばされないように左手で抑え、右手だけでカメラを持ってシャッターを押す。
山形-福島の県境の鞍状になっている地形なので、ここを通って風が西の山形県側から東の福島県に行く間に湿気を失い、乾燥した空気が太平洋側に流れて行く訳だ
一瞬雲の間から麓の街が見えた
峠の麓の取り付きから頂上まで、人っ子一人、猿すら見なかった。峠道独り占め、好きなところで車を停め、或いは行き過ぎた所をバックしたりしながら存分に撮影できた。
兼好法師の『徒然草』に「花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは」と言う下りがある。紅葉も鮮やかな青空、燦々と降り注ぐ陽の光の下でばかり撮るものでもあるまい。天気が悪いなら悪いなりに味わいのある写真が撮れるようになりたいものだ。
2016/11/04
んねぞう