水温む(ぬるむ)頃 – Mar. 2017

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暖かくなってきた。穏やかな晴れの天気に誘われて、寒川まで車を走らせた。寒川神社の参道に並行して流れる目久尻側にかかる橋を渡った時、河原に菜の花が満開で咲いている、鮮やかな黄色に目を奪われた。

近くには鎌倉、小田原等近隣の主要都市に上水を供給している浄水場があり、それに付随して水道記念館がある。建物の前の河童。1/3000秒のシャッタースピードで、逆光に光る水しぶきを捉えた。

中庭で。穏やかにたゆたう人工水路の水面に太陽が映る。その傍らで、子供たちを遊ばせながら語らっている、若いお母さん達。

相模川のほとりに移動する。風が少し吹いているが、これまで着ていた厚手の防寒具はもう必要ない。穏やかな日差し、菜の花、はっきり冬が終わったと感じさせる、滑らかに頬をなでる風。4月の新学期、会社での組織変更、それらを控えた不安感の記憶がふと蘇る。

川縁に降りて見る。普段は人はいないのだが、今日は釣り人が多い。近くの人に挨拶した。「今日は何を撮っているのですか?」と聞かれ、鳥とか、植物とか、はっきりした、人にわかってもらえる対象物を言えないのにへどもどして一応「風景です」と答えた。「そうですよね、今は風景しか撮るものないしね。」と言われた。本当は「寂れた風景」と言いたいのだが、そう言うと、多分相手が引くだろうから、言えない。「そのカメラは5Dですか?」と聞いて来たので、多分写真やカメラにも詳しい人なのだろう。こういう人と調子を合わせられると、写真談義にも花が咲くのだろうが。

今日は試合は終わったのか、人気のない河川敷の野球場のベンチで夕日を浴びながら一人本を読んでいる人。これも、暖かくなって来た春だからこそか。

2017/03/19

んねぞう